那須岳(茶臼岳)・・・ 下りは大荒れの天気、ルートアウトと風に飛ばされながらの下山 [山歩き]

2018年2月24日(土) 晴れのち曇りのち吹雪
那須岳(茶臼岳:1915m):栃木県那須町


IMG_4077 nasu 180202.jpg
「道の駅那須高原友愛の森」北側駐車場から那須連峰
(左から白笹山、黒尾谷岳、南月山、茶臼岳、朝日岳)

IMG_4081 nasu 180201.jpg
那須高原展望台から茶臼岳と朝日岳
(朝日岳山頂付近は雪煙)

前回40日ぶりの登山で登った古賀志山で足が攣りそうになったので、早速トレーニングで那須茶臼岳に登ってきました。
積雪期の茶臼岳は今回で11回目。そのうち2回の雪山講習会と強風で途中から引き返した2回があり、登頂は今回が7回目。

登山開始から少しまではほぼ快晴で、青空を背景に真っ白に輝く那須岳が見えていました。しかし、峠の茶屋駐車場付近からだんだんと天気が悪化し、下山時は烈風吹きホワイトアウトに近い状態で、これまでで一番過酷な那須岳登山となりました。

歩いたコースと時間
大丸温泉駐車場(9:40)→峠の茶屋駐車場(10:25-30)→峰の茶屋避難小屋(11:40-12:05)→茶臼岳(12:55)→峰の茶屋避難小屋(14:00-08)→峠の茶屋駐車場(14:50)→大丸温泉駐車場(15:20)

当日は、GPV気象予報では、11時まで雲はなく、正午以降から雪の予報。風の強さをあまりはっきり見ていなかったので反省です。

IMG_4080 nasu 180203.jpg
那須高原展望台「恋人の聖地」より茶臼岳と朝日岳
(この場所は、平成22年6月に全国で100番目に登録された「恋人の聖地」です。)

同上 アップ  →  1枚上の写真

大丸温泉駐車場までの道路は、北温泉上から雪が少しずつ出てきましたが、全体に綺麗に除雪されており、アイスバーンもなく、走りやすい状態でした。

IMG_4088 nasu 080204.jpg
スキー場駐車場下付近の道路の様子

IMG_4089 nasu 080205.jpg
大丸温泉駐車場から那須岳を見る(上部は雪煙が上がっています。)

久しぶりの冬山で準備に時間がかかり遅めのスタート。

登り始めの登山道は階段中央の手すりも埋まっており、雪が多いです。

IMG_4090 nasu 080206.jpg
大丸温泉駐車場登山口より

IMG_4092 nasu 180207.jpg
峠の茶屋駐車場下付近の登り

峠の茶屋駐車場は雪で埋まっており25cm位の積雪。青空が見えなくなり曇ってきました。
ここでアイゼンを装着。(風はまだ弱い。)

IMG_4093 nasu 180208.jpg
峠の茶屋駐車場

山之神神社の鳥居は、縦の石柱の奉納の字の納が見えるくらいの積雪(1.5m以上)。

IMG_4097 nasu 180209.jpg
山之神神社の鳥居

IMG_4102 nasu 180210.jpg
中の茶屋下の樹林帯

IMG_4103 nasu 180211.jpg
中の茶屋跡(雪が多いです。)

このあたりから風が強くなりましたが、特別強い風でもなくゆっくり登って行きます。

すぐ前を歩いていた70歳くらいの方は、風が強くなったので無理はしないと引き返していきました。また、峰の茶屋上で吹き飛ばされそうになったので帰ってきましたという単独のシニアの男性も下ってきました。

中の茶屋跡の上で、男女2人ずつの若いパーティーが、ハーネスやカラビナを装着し朝日岳東南稜に向かう準備をしたあと、明礬沢へ下って行きました。

IMG_4104 nasu 180212.jpg
朝日岳東南稜に向かう4人のパーティー

IMG_4106 nasu 180213.jpg
峰の茶屋跡避難小屋が見えてきた

IMG_4108 nasu 180214.jpg
避難小屋前から茶臼岳方向

避難小屋付近では風がやや強くなり、アイゼンを外して避難小屋の中に入り昼食休憩。中には2名の若い方が昼食中でした。小屋の中の温度計は、-7℃。あまり寒さは感じられません。

休憩のあと外に出ると風が強くなり、視界も悪くなっていました。
風は体が吹き飛ばれる程でもなく、時々吹く強い風で体が風下によろけるくらい。

IMG_4110 nasu 180215.jpg
休憩後の避難小屋前から茶臼岳方向

少し登って平坦地を歩き、右に回るように緩やかに登り山頂火口下のやや急な雪渓を登ります。

IMG_4112 nasu 180216.jpg
雪と岩の交る道(右に回って雪渓下へ)

IMG_4115 nasu 180217.jpg
山頂火口下のやや急な雪渓部下(ほとんどホワイトアウト状態)

ホワイトアウト状態で、風でトレースが消えているので膝ラッセルで登って行きます。火口縁(お釜口)に出て右回りで山頂に向かいます。

IMG_4118 nasu 180218.jpg
那須岳神社の鳥居

IMG_4121 nasu 180219.jpg
山頂の石祠 

風が強くなり、視界も悪くなったので写真を撮ってすぐに下山です。視界が悪いので周囲はよく見えませんが、火口を一周するコースのロープに従って歩いて、お釜口から雪渓を下ります。

IMG_4127 nasu 180220.jpg
雪渓下から左へのトラバース

上の写真の場所から先は、風が一層強くなり、視界もさらに悪くなって、トレースも風で飛ばされて全く見えないのでルートを外れてしまい、西方向に戻ればルートに戻ると考え、西方向と思われる方向に向かいます。
そのうち、ほとんど周囲が見えなくなってどこを歩いているか分からなくなり、このままでは遭難?という言葉も浮かびましたが、落ち着いて、岩影を探し、ザックの中のスマホを出して、ジオグラフィカで現在位置を確認しました。

やはり左回りのルートを外れて直進していたようで、少し西に軌道修正していたものの、まだ西に進む必要があることが分ったので、時計のコンパスで西方向を再度確認し、西方向に進むと登山ルートのロープを発見。

やっと登山ルートに戻りましたが、安心するのも束の間、今度は正面から来る烈風で帽子が飛ばされて、あっと言う間に真っ白なガスの中に消えてしまいました。少し探しに戻りましたが、強い風で遠くまで飛ばされたようで全く見えないので諦めました。
(capの上にスキー帽を被り、冬用アウターのフードを被っていたのですが、烈風でcapの鍔が下から煽られてフードを外して飛んで行ってしまったものです。)

帽子がなくなって寒いのでザックの中からネックウォーマーを出して被りたいのですが、風が強くとてもネックウォーマーを出せる状態ではなく、避難小屋まで下りて被ることにしてフードを絞って被っていました。

平坦地から石段のようになった下りを風に飛ばされないように慎重に足場を探しながら下って、緩やかな斜面を下ります。この付近は風が最も強く、まっすぐ立って歩けないのでストックを風下側に突いてしゃがむようにして歩くのですが、2,3歩いては風下に体を持って行かれ、次の2,3歩で風上側に歩く、時々耐風姿勢で立ち止まることの繰り返しで亀の歩みのジグザグ歩きを続けてようやく避難小屋に到着。

避難小屋の軒下のベンチで、ネックウォーマーをザックから出して頭に被り、テルモスの暖かい紅茶を飲んで休憩。少し気持ちを落ち着かせてから下山です。

IMG_4129 nasu 180221.jpg
下山開始時の避難小屋前(右が山頂方向、左が下山道)

避難小屋からの下りも烈風の中、2つの雪渓を横切るときも視界が悪くトレースも風で飛ばされて全く分からないので、膝ラッセルで通過。
後ろから吹く強風で体が前に飛ばされて2,3歩前に走らされることしばしば。
一回は、前に跪くように転倒してしまいました。那須岳での強風による転倒は初めてです。

中の茶屋から下は樹林帯となり風も弱くなっているので、ゆっくりと駐車場まで下山しました。

IMG_4130 nasu 180222.jpg
中の茶屋跡下

IMG_4132 nasu 180223.jpg
峠の茶屋駐車場(風は弱くなったが雪が降ってきた。)


山頂からの下山中に風が強くなり、まっすぐ立って歩けない程の烈風の中、ほとんどホワイトアウトでルートを外れヒヤットしましたが、スマホGPSジオグラフィカが大いに役立ちました。
避難小屋からの登りのスタート時に、山頂からの下山時のような強風だったら、登頂を諦めて引き返していたでしょうね。


ジオグラフィカの使用は今回で2回目。記録間隔を「細」にしたので、ログの粗さはなくなりましたが、2,3か所飛んでいる所がありました。
(電池の減量は、低温の雪山でも5時間半で30数%でした。)

nasudake 20180224 track.png
今回のGPSトラックログ (画像クリックで拡大)
(地理院地図(電子国土web)を使用しました。)(国土地理院測量結果の使用承認申請中)

地図上の茶臼岳の文字の上の、四角形の右上角のようなトラックがルートアウト部でした。


以下は、以前の那須岳関連の記事です。

那須岳(茶臼岳)からの展望図
http://vert-yama.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29

2016年2月11日(木) 快晴   快晴でもやはり風が強く寒かった
http://vert-yama.blog.so-net.ne.jp/2016-02-16

2016年1月3日(日)晴れ時々曇り  新年初登山のあとはゆっくりと温泉
http://vert-yama.blog.so-net.ne.jp/2016-01-06

2015年2月1日(日)強風、吹雪  大荒れ。烈風、地吹雪で峰の茶屋までも行けず
http://vert-yama.blog.so-net.ne.jp/2015-02-04

2014年2月1日(土)快晴    リハビリ登山と温泉  
http://vert-yama.blog.so-net.ne.jp/2014-02-03
  
2012年3月11日(日)晴れ後曇り後雪   雪たっぷりの雪山講習会  
http://vert-yama.blog.so-net.ne.jp/2012-03-13

nice!(18)  コメント(12) 

nice! 18

コメント 12

よしころん

烈風の中の下山本当にお疲れ様でした。

8年前はじめて行った雪の谷川岳、ガイドを伴っての登山の際の天気予報が下り坂予報。
やはり帰路で天候が急変。途中何度もストックが飛ばされそうになりました。ホワイトアウトもこの時経験。
はじめての雪山でとびきり怖い思いをしたので、雪山へ行く際の天候判断は風の強さ、あと雪崩チェックも含め厳重にするようにしています。
那須の風は普段でも強烈ですもの。
耳や鼻の凍傷は大丈夫だったでしょうか。
雪山の怖さを思い出させていただきました。
無事でなにより。よかったです。
by よしころん (2018-03-01 23:24) 

mimimomo

こんにちは^^
お一人山行でしたか? 危ない所でしたね~無事下山何よりでした。北海道では普通の道(山ではない)で道路の救助隊の方が亡くなられましたね。
今年の気象は正に異常。怖いです。
帽子が飛ばされて頭にフードでも被れてよかったです。頭が冷えると人間思考力が衰えますので、遭難の危険が高まりますものね。
中の茶屋から上っていつも風が強めですものね~それが一層凄かったのですね。
今後ともあまりご無理はなさいませんように^^v
by mimimomo (2018-03-02 12:44) 

tochimochi

那須の風は強烈ですから大変でしたね。
おまけにホワイトアウトにラッセルではルートアウトも仕方のないところです。
こういう時はやはりGPSが頼りになりますね。
あまり下りすぎないうちにルート修正できて良かったです。
お疲れ様でした。
by tochimochi (2018-03-02 21:12) 

ヴェール

よしころんさん
雪山での天候の急変はやはり怖いですね。
>雪山へ行く際の天候判断は風の強さ、あと雪崩チェックも含め厳重にするようにしています。
そうですね。私も今後は雨量も含めてしっかりとチェックしたいと思います。
今回冬用アウターの断熱性が良かったのか、あの間に帽子なしでも凍傷になることはありませんでした。

mimimomoさん、こんばんは。
冬山で、何かの動作で手袋を外してその手袋が飛ばされて凍傷になるという話も聞きますね。
帽子も注意ですね。
今回の事を教訓にして、雪山へは慎重に出かけたいと思います。
まずは、山の天気予報をしっかり確認して、天候の悪い時は出かけないことですね。

tochimochiさん
下りの激烈な風には参りました。
早めにGPSを見れば良かったのですが、ザックの天蓋のポケットに入れていたので
あの風の中でなかなか出せませんでした。
直進してしまった所は、緩やかな傾斜地で雪が風で飛ばされて少なく、歩きやすかった
ことから行ってしまったこともありますね。

by ヴェール (2018-03-02 22:38) 

nousagi

雪山は命がけですね。
天気で条件は全く違ってきますし。
仙ノ倉山だったか、飛ばされたザックカバーを追って
グループを離れた2名が遭難ということが。
ほんとに無事下山で良かったです。
by nousagi (2018-03-03 08:12) 

Jetstream

那須・茶臼岳は厳しい山ですね。いつ行っても峠は風が強く冬ではなおされで壮絶な場面に遇することもありますね。無事下山されてよかったです。お疲れ様でした。鳥居があんなに深く雪で埋まって(*_*)です。峠の茶屋も強烈な風の通り道、ホントに侮れない難度が一挙に上がる山であること教えて戴いました。
by Jetstream (2018-03-03 19:50) 

ヴェール

nousagiさん
>雪山は命がけですね。
悪天候下では本当にそうですね。悪天候でなくても、ちょっとしたトラブルが事故や遭難に繋がりやすいですね。風で飛ばされて転倒し怪我をしても、遭難ですね。
今後の雪山登山は、気象予報をしっかりと調査した上で実行の可否を判断して出かけたく思います。

Jetstreamさん
落ち着いて考えると遭難一歩手前の状況でした。
今までに強風で引き返したのは、登山開始時あるいは中腹からの強風であり、今回のような天候の急変を想定していなかったので、あんな状況下に置かれたのですね。
冬山では、天候の変化を十分調査しておくことを肝に銘じておきます。
今年の那須岳は雪が多いです。

那須岳 遭難事故について
http://nasutrekking.info/sounan.html

by ヴェール (2018-03-04 10:23) 

テリー

大変でしたね。
でも、冷静に、対処されて、無事、帰還されて、何よりでした。
by テリー (2018-03-07 22:34) 

ヴェール

テリーさん
ルートアウトはもっと早めにGPSを確認していればあわてなくて済んだかなと思います。
那須の風は激しく、今回のことを山の先輩に話すと、風を防ぐために這うようにして進んだこともあるとのことでした。
高齢者はやはり天気の良い日に出かけたいものです。(苦笑)
by ヴェール (2018-03-08 20:44) 

mimimomo

おはようございます^^
いよいよ春ですね~春山登山が始まりますね^^
by mimimomo (2018-03-16 06:30) 

ヴェール

mimimomoさん、こんばんは。
春ですね。
今日、谷川岳に登ってきました。一日中雲一つない快晴で素晴らしい展望を楽しみました。
(登りは苦しかったですが。)
今年は鉢植えのクレマチスを増やして、期待の品種の蔓がどんどん伸びてきています。
by ヴェール (2018-03-18 00:02) 

mimimomo

こんばんは^^
谷川岳に登られたのですか。まだ雪が沢山でしょ?
by mimimomo (2018-03-19 22:13) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。